コラム

2015/02/09

法人成りした際のメリット


個人の確定申告の時期がやってまいりました。
税理士に書類を預けて安心されている方、書類の山が気になりつつも目をそむけている方様々だと思います。中には、思わぬ儲けが出たため、自身の事業を法人化されることを検討されている景気の良い方もいらっしゃいます。事業を始めたからには、ゆくゆくは法人でと考えておられてる方も少なくないはずです。

今回は、そんな個人事業者の方のために事業を法人化させるいわゆる『法人成り』について説明しようと思います。

まず、なぜ、個人でやっていた事業をめんどくさい法的な手続きをとり、わざわざ法人化させるのでしょう?当たり前のことですが、そこにはメリットがあるからです。その代表的なものをいくつか挙げてみようと思います。

法人成りした際のメリット

1.儲け(所得)に対して課税される税金の税率を下げることができる
個人に課せられる所得税は、5%~45%と段階があり所得が高い人ほど税率が高くなります。
さらに、個人の所得に課せられる地方税、住民税を合わせると合計最高55%もの税率が課せられます。
一方、法人の儲けに対して課せられる法人税の実効税率は36%程度です。
『個人の儲けから55%も税金とられるのだったら、法人成りし、36%程度の法人税で済ました方が得だ。』となる訳です。

2.給与所得控除額が利用できる
役員であろうと従業員であろうと給与を貰っている方であれば、給与の収入金額から一定の控除額が認められます。
(A)仮に儲け(所得)が1,500万円の個人事業者がいたとします。この方の事業所得は1,500万円となります。
(B)この方が既に法人成りをして、法人で1,500万円の儲け(役員報酬支給前)を出し、個人事業者を代表者として会社から役員報酬を1,500万円支給していたとします。
法人の1,500万円の儲けから、役員報酬1,500万円を経費としますので、差引儲けは0です。
一方、給与をもらった代表者は1,500万円に対する給与所得控除額245万円が引いてもらえますので、差引給与所得は1,255万円となります。

つまり
(A)法人成り前
事業所得1,500万円
(B)法人成り後
1,500万円(給与収入)▲245万円(給与所得控除額)=1,255万円 ※法人は所得0

この差は、法人成りしたから儲けが減ったわけではなく、給与所得者にはお金が支払っていなくても控除が認められる給与所得控除額の存在があるからです。
所得税も、法人税も所得に対して課税されますので、同じ儲けなら、事業者として稼ぐよりも、法人を介して給与としてもらった方が、所得が低くなり得だというわけです。

3.消費税の免税期間を利用できる
個人であれば、2年前の課税売上高が1,000万円以上であれば、その年は消費税の課税事業者となり、その年に預かっていた消費税を申告・納付する義務が生じます。つまり、平成27年が消費税の課税事業者に該当するかは、平成25年の課税売上高で判定するわけです。法人成りした場合、同じ事業を引き継いだとしても、法人設立後2期は、2期前の課税売上高が存在しないため、下記に掲げる場合を除き、消費税の免税事業者として消費税の申告・納税義務が免除されます。
※消費税の納税義務の免除については詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6501.htm

(消費税の免税事業者とならない場合)
イ、事業年度開始の日の資本金が1,000万円以上の場合
ロ、前事業年度開始の日以後半年間の課税売上高が1,000万円を超える場合(なお、課税売上高に変えて同期間の給与総額により判定することもできます。)

4.欠損金の繰越期間が長くなるなど、欠損金が有効利用できる
個人事業者であれば、事業の赤字による損失の繰越期間は3年間ですが、法人であれば繰越期間は9年間です。また、個人が所有する不動産の譲渡による損失は、事業をしていたとしても、事業の所得と通算できず、不動産の譲渡による黒字としか通算できません。法人の場合、本来の事業による所得も、不動産の譲渡による所得も区別しませんので、不動産の譲渡による損失が生じたとしても、事業の所得と通算できないということにはならないのです。

5.その他
上記に掲げるメリットの他、法人成りすると様々なメリットがあります。
・事業の対外的な信用度を上げる。

・生命保険料を経費にできる。

・適正な水準の旅費規定を設けることで、代表者に対するものであっても、出張手当を非課税で支給することができる。(つまり、代表者が出張手当をもらったとしても所得とならない。)

・決算期を自由に設定できるため、売上があがる時期を期首にし、税金対策をする期間を長くしておくなど、会社都合により決算期を選ぶことができます。

法人成りした際のデメリット

法人成りをすることは、メリットばかりではありません。
デメリットも当然あります。デメリットの一例です。

1.個人事業に比べ事務手続きが煩雑化し、それに伴う経理の人件費、税理士費用等のコストも増大する。

2.所得が出なくても(儲からなくても)、支払わなくてはならない地方税(均等割り)の負担(最低7万円)がある。

3.法人は健康保険及び厚生年金に加入が義務付けられており、従業員の保険料の半分を負担しなくてはいけないので、人件費が増大する。

4.交際費の一部が損金不算入となる。

税金対策で法人化したにもかかわらず、結果的に他のコスト負担が増大してしまったなんてことにならない様、充分ご注意ください。ただし、会社経営とはコストを管理することだけではありません。コストばかり気にしすぎると、本来の事業目的を見失いかねません。安心してコスト管理以外の経営に専念できる様、コストを管理してくれるパートナー選びは事業拡大して行く上で本当に重要です。


最近のコラム

2014/10/22

税理士とは?

税金のことはご存知ですか? 所得税や法人税・消費税などの馴染みのあるものから、酒税やたばこ税など普段意識をしていないものまで様々です。 多種多様な税金、知ら…続きを読む

2014/10/30

バーチャルオフィスで会社を設立するメリットとデメリット

バーチャルオフィスの利点 バーチャルオフィスを利用する大きな利点としてはコスパが高いというところではないでしょうか。 起業の際には何かと費用が伴うものですか…続きを読む

2014/10/30

会社設立のための大まかな流れを知っておこう

会社設立までの大まかな流れ 会社設立のためにはまず会社の商号や事業の目的を決めなければなりません。 商号というとやや難しい印象を受けますが、会社の名称と言い…続きを読む

2014/11/13

那須税理士事務所

シンボルマークは道しるべの看板をデザインしたものである那須税理士事務所は、『クライアントの道しるべでありたい』という想いをベースにクライアントのベストを常に提案…続きを読む

2014/11/13

植田税理士事務所

植田税理士事務所とは、大阪市天王寺区石ヶ辻町に建てられている税理士事務所で、最寄りの駅から最短で2分歩いた所に位置しています。 「駅からすぐ近く」という立地条…続きを読む

カテゴリ一覧

コラム一覧